いまや、支持率低落傾向に歯止めがかからない民主党だし、私も実は支持する気を無くしているのだが、あえて擁護の論を書いてみたい。
まず、左右(民主党内では小沢一派)両方から、批判されている、2007年参院選時のマニフェストに戻れ!公約違反だ!っと言う声に対してである。
財政難のため、無理に公約を実行しようとして、国債発行額が、今年・来年と過去最高になることとあわせて批判されている。
しかし、子供手当て、高校無償化、農家個別補償制度などのベーシックインカムの考え方に近い、社民主義的な国民本位の政策が、自民党で期待できたであろうか?自民党はこの点について何も言わない。政権をとったら、全部止めますよ、とは人気が無くなるから絶対に言わない。
でも多分、自民党は、これらの施策を止めてしまうだろう。
数字の根拠無しで、ひたすら社会保障費の一律2200億円の削減を続けたのは、小泉と安倍内閣である。
当時、特に介護の現場などから悲鳴が上がっていたのであるが、今後も高齢化が続く時代、社会保障の一律削減などが許されるのであろうか?しかもこの間、安倍は、三菱重工が開発していた国産中型ジェット機の開発補助金500億円を、ぽんと、三菱重工に差し上げている。ネオコンの代表的存在の安倍だから、多分キックバックで私服を肥やしたのだろうが、いずれにしろ、政策が一方に偏っていたのは間違いない。
次に、今行われている、小沢の処遇を巡る党内の軋轢である。
正直、悪いのは小沢だと私が思っているのは、2つ前の記事にも書いた。小沢下ろしは、菅政権の悲願でもある。なぜか。選挙に強いといわれる小沢を、統一地方選挙前の今、なぜ追い詰めようとしているのか?それは彼の独裁・強権的な体質に、小沢に金と選挙の面倒を見てもらった議員以外から反発があるからだ。
たとえば、事業仕分けを含む国政に、「新人議員は参加まかりならぬ」と一方的に1人で決めたりするような、すべてを親分子分の関係で、上下に分類し、逆らう物には罰を施すという、強権的体質が、党の中でも嫌われているのだろう。
で、自民党政権末期の、安倍、福田、麻生の1年ごとの政権たらいまわしと途中での放り出し(安倍のが一番みっともなかった)は記憶に新しい。そしてそのたびごとに、派閥を中心にした長老支配で、次の首相が決められ、国民は投票すら出来なかった。
リーマンショック直後で、経済が大混乱にある中、総裁選と言う名の全国顔見世巡業に2週間も費やしたのは、麻生政権発足時である。国民のことを考えないで、権力の奪い合いをしていたのは自民党に顕著で、今の菅・小沢(鳩山)の対立どころの話ではない。
もう一度考えて欲しい、なぜ、あれほどまでに政権交代に風が吹いたのか?
それは、民主党がよかったのではなく、自民党が余りにも悪すぎたからである。
そして、今もなお、自民党は何一つとして国民のためになる政策をを打ち出していない。と言うか官僚の提案や作文が無ければ、政策立案能力が無いのだろうと推測する。
民主党に対しては、マスコミが自民党の手先として、こぞって、批判や、もはや言いがかりとしかいえない金切り声を上げて、世論をミスリードしている。
多くのマスコミの幹部社員たちは、自民党と密接に結びつくことにより出世してきた連中なので、早く自民党に政権返り咲きをして欲しいという、利己主義から、ひたすら民主党バッシングをしているのである。
それにいちいち乗せられるほうも乗せられるほうだが、ならば、自民党時代の失われた20年の経済失政と、世帯所得が減り続ける中、企業は経営者が報酬をお手盛りし、内部留保を溜め込んでいる状態をよしとするのか?
せめて税制を小泉以前に戻せば、消費税増税の必要は無くなる。金持ち増税の何が悪い。
国家とは、社会的再配分の役割を持つ。その機能を失わせたのは、小渕以降の新自由主義政策である(元をたどれば中曽根に行き着く)。その政策で、景気も国民生活も浮揚しなかった。肥え太ったのは、小泉の円安誘導政策により、輸出で潤った製造業の大手だけである。しかも彼らは、非正規雇用を増やし続け、賃金も年金積立金も抑えるか支払わなかった。これもまた、小泉が行った、派遣業法の改悪による物である。
のどもと過ぎれば熱さを忘れる。
皆、自民党の金持ち優遇の世襲の悪政を忘れたのか?
民主党の批判される発言や行動など、自民党当時は日常茶飯事でニュースにもならなかった。
自民党御用達マスコミの論調に軽々しく乗って、民主批判をするのはいかがな物か?
また、民主内部の対立も、小沢信仰が根強いが、彼は民主党代表選挙で、菅首相との違いを出せず、具体的政策も出せず、せいぜい、新幹線の北海道への延伸などと、自民党の土建政治屋だった頃と同じような発言をしただけである。公式の代表戦で敗れながら、自分は発言しない物の、子分の海江田や原口に、ひたすら菅陣営の足を引っ張る行動をさせているのは小沢自身である。
また、小沢支持者(ozwと書くらしい)の異常性は、菅の責任ばかり追及しているが、今の民主党の苦境の過半は、鳩山政権で起き、これも放り出し辞任をした鳩山の責任であり、菅はその後始末に追われている。
鳩山は、昨年9月から、今年5月までの9ヶ月首相在任し、その間小沢は、幹事長として党内で独裁制を敷いていた。菅はその後の7ヶ月に満たない期間しかまだ在任していない。しかし、マニフェストの一部履行にしても、政策を実行に移したのは菅政権であり、小沢は鳩山政権下で何をしていたというのか?口をぬぐって菅政権の足を引っ張るのは恥知らずと言うべきであろう。
まぁ、なんにしても、「保守2大政党制」とやらが、日本には適していないのは間違いなかろう。
しかも、今、政策をかけらも言わない自民党に、政権返り咲きを認めては絶対にいけないと思う。
まずは、小泉・安倍の計6年間の悪政のつけを整理清算するべきで、そのためには、数ヶ月と言う単位ではとても間に合うまい。
今しばらく菅政権を見守るべきだと思う。と言うか、それしか国民に選択肢は無いと思う。残念ながら。
消費税上げ発言、法人税減税で、経団連からは雇用と賃上げを言下に拒否され、国債の日銀引き受けと言う、インフレターゲットの様な、新自由主義的政策が目立つ菅政権を私は支持したくないが、「よりまし」、「ほかはもっとダメ」と言う悲しい状況の中では、残念ながら、今の政権に適切な批判を加えつつ、当面長く続けさせる方が得策と思うしかない。
とにかく自民党の政権復帰や、大連立など、絶対に許してはならない。
以上
posted by ジャッカル at 04:44|
Comment(1)
|
TrackBack(1)
|
政治
|

|