2010年10月02日

【尖閣諸島事件】私の見解と立場

 またまた連日の記事更新となる。どうもブログを休止していた間に、私自身の中に、いろいろと溜まっていた物があるようである。 今日も駄文にお付き合い願いたい。

 さて、急きょ思い立って再開したブログなので、今話題の尖閣諸島漁船衝突事件を取り上げることとなった。3日前の記事で、関係改善に動きだすだろうと述べたが、それ自体はほぼ当たっていた。

 しかし、この件について、私自身の見解を述べたのは、3日前の記事だけである。今日はそこをもう少し掘り下げてみたい。なぜならば、何やら偏狭なナショナリズムを刺激された国民が多いようで、普段は沖縄や尖閣諸島に関心など無いくせに、事件後急に反中感情が燃え上がり、それに乗じて、経済問題が最重要と叫んでいた自民党などが、臨時国会冒頭からこの問題で政府の弱腰、っと強硬論で攻撃を開始したのを見て、少しおかしいぞ、っと思ったからである。

 さて、事件の概要については、中国が軟化し始めた3日前から、急に新聞などでは記事が激減した。リアルタイム性に欠ける雑誌メディアが、自民党の意向を汲んで、煽情的な、しかし中身の無い記事を書きたてている状況である。

 では、強硬論。特に民主党内からも出ている、軍事的な対処が本当に正しいのだろうか?
 私はもとより、反戦・平和主義者であり、外交による国際間の事件解決を至上とする。ならば、今回の事件について、どのような姿勢が望ましかったのであろうか?また、沖縄地検による、「処分保留」による釈放と言うのが、法的に見て正しかったと言えるのだろうか?

 私の見解では、まず、3日前の記事に書いたように、そもそも、菅政権で、「日中間に領土問題は存在しない」と言う立場が誤っていたと考える。
 島国根性で、自国の主張だけを叫んでいては外交はできない。中国側の主張が理不尽だと思う方も多いだろうが、少なくとも、既に海底ガス田の開発について、中国が独断先行し、春暁採掘基地(日本名、白樺)を既に建設している。そして、この件について、以前から日本と中国は共同開発の方向で協議を進めていたのである。
 っということは、「領土問題は存在しない」と言いつつ、現実に対応して、交渉をしている側面があったのであり、やはり、「領土問題は存在する」のである。

 この点についての私の立場は、やはり3日前の記事に書いたように、「日中間に、懸案事項はある」という立場に立ち、交渉のテーブルを設けて、前向きの妥協点を探るべきであったと思う。その意味で菅政権のこの問題に関する姿勢は、「夜郎自大」的な、非現実的な物であったと言える。この点を強く批判したい。
 菅政権がこのような強硬な姿勢を取った背景に、ネオコンと言われる前原現外相(前国交相)の意向が働いたと言う説が強いが、確かに海上保安庁を所管する国交相であったわけで、関与が無かったとは思えない。しかし、「領土問題は存在しない」と言う立場は、6月に菅政権が決めた外交方針に含まれており、前原の独断であるとは言えない。首相である菅直人が、最高責任者として、責任を負うべきだ。

 しかし、マスコミの煽りに乗せられたのか、国民の多くがこの件で強硬な意見を持っているらしい状況では、私の言うような立場に立つことは難しいであろう。しかし、上述のようにガス田共同開発については、難航していたとはいえ、協議のテーブルについていたわけで、今更強硬姿勢を取っても百害あって一利なしである。別に政府見解を変えろとは言わないが、今後は交渉のテーブルを設けるために、現実的対応を望みたい。強硬論の行きつく先は、多分中国の軍による、尖閣諸島実効支配の強行か、その逆であろう。絶海の孤島に派遣される兵士こそ良い迷惑である。政治の不手際の後始末を軍事的な対応で対処し、日中間の関係を緊張状態に置くことは、現在の両国間の貿易や食糧輸入の問題を考えれば、論外な対処方法である。

 では、次に沖縄地検の判断で処分保留として釈放したことに、野党などから批判の声が上がっている。
 この件についての私の見解は、まず、最初の拿捕が間違っていたと思う。それ以前からあったように、巡視船により日本の領海から追い出すことにとどめておけば良かったのである。そうしていれば、問題はここまで大きくもならず、ニュースにすらならなかったであろう。
 しかし、菅政権の「領土問題は存在しない」という見解を受けてのことか、今回は、拿捕・船長の公務執行妨害による逮捕、と言う愚挙にに出てしまったのが、そもそも失敗であった。
 で、結局、処分保留による釈放、と言う腰砕けの結果になり、国民のナショナリズムの火に油を注ぐ結果となってしまったわけである。

 拿捕してしまったのは、政府方針に則った物として、現場の海上保安庁を責めることはできない。では、沖縄地検の対応はどうであったのだろうか?
 私の意見では、既に公務執行妨害で逮捕してしまったのであるなら、地検は粛々と法に則った対応をすべきであったと思う。しかし、早期の釈放には賛成である。ではどうすれば良かったかと言うと、「外交上の考慮をして、処分保留」などではなく、早期の手続きで、略式起訴、罰金と言う略式命令を出して、適法に処理してから釈放するのが筋であったと思う。「処分保留」と言うのも、確かに地検の判断・権限としてありうるが、結果として余りにも弱腰だと言う批判にさらされる結果となった。

 私は、もちろん、強硬論にくみするものではなく、また極右のネオコンの安倍晋三や麻生太郎ごときが、軍事的対応を求めること自体が国益を損ねると思っているが、手続き的にきちんと処理していれば、少なくとも、弱腰批判は少しは弱かったであろう。

 結局、菅政権の最初のボタンの掛け違いからはじまって、拿捕してしまったのに、今度は処分保留と言う、中途半端な対応が、現在野党の攻撃材料になってしまったのである。

 他方、国会で政府「非難」(適切な批判ではなく、金切り声をあげての「非難」の状況である)をする野党・自民党の言い分に理はあるであろうか?
 全くないとしか言えない。自分が当事者でないからと言って、世論に迎合する形で非難を続け、政権奪取の政争の道具としようとしているが、軍事的対応を含めた強硬論が、現在の日中関係を考えれば非現実的であるし、そもそも臨時国会の会期を決めるための与野党間協議の場では、「経済問題が喫緊の課題であり、会期をもっと長くしろ」と主張していたのは自民党である。
 それが、臨時国会が始まるなり、降ってわいただけの尖閣諸島問題で、政府を非難するだけで、経済問題には目もくれない。党利党略に走った、国民生活や経済を見ない、愚劣な対応だと考える。 
 そもそも、ガス田共同開発の件は、自民党時代からの案件である。それがなかなか決着しないまま、中国による採掘基地の建設に至ったまでの経緯にこそ、自民党の交渉能力の無さ、弱腰があったのである。
 それを棚に上げて、今更強硬論で、政府をなじったとて、風に向かってつばを吐くようなもので、冷静に考えれば、自民党の中国利権、財界の中国重視の前に、弱腰で対応してきた自民党の姿がある。

 私は、中国の領有権主張を、全面的には是としない。歴史的経緯からすれば、一昨日アメリカの国務副長官が述べたように、沖縄返還の際に、尖閣諸島も含まれていた、と言うのが、公式文書があるのならば、歴史的に一番近い、日本の領有権の証となるであろう。

 しかし、外交と言うのは、2国以上の国の間の交渉である。一方がある主張をするならば、それに対して理をもって話し合いをするほかは無い。そのためには交渉のテーブルが必要で、最初に述べたように、「日中間に領土問題は存在しない」という政府見解自体が、そもそもの失敗だったと私は考える。

 ただ、今回の件は、中国側の軟化を持って、早期に解決・忘れられていくであろう。昨日の記事に書いたように、自民党が政争の具としているために、雑誌メディアを中心に、煽情的言葉で、強硬論を煽っているが、実際に日中間の仕事に携わっている多くの経済人たちからは冷めた目で見られているのが実情であり、それは中国側でも同じであろう。
 早晩、関係修復が行われ、私が言う、再発防止のための交渉のテーブルも設けられることを期待している。
 ネオコンの安倍や麻生が言うような軍事的対応は、古い中国の書物に言うように、外交の下策中の下策であり、しかもその真意は、ネオコンとして、対中国を理由として、兵器を増強して自らの私腹を肥やそうと言う物だから始末に負えないのである。安倍自身が、尖閣諸島に永住する覚悟で物を言っているならともかく、問題の前線からはるか後方で、自分は何もせずに、私腹を肥やすための強硬論を叫ぶやつらこそ、「国賊」と呼ぶにふさわしい。都知事のイシバカ珍太郎ごときも同じような物である。無責任な発言しかしないこの老耄の愚か者にいちいち見解を求めに行くメディアもメディアである。

 以上が尖閣諸島事件に関する私の見解である。
posted by ジャッカル at 04:48| Comment(1) | TrackBack(2) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは
私は尖閣列島に領土問題は存在しない、という言辞に賛成です。
私の知る限り、中国の根拠とするものは、明の時代に倭寇を防御するため云々という、中世にさかのぼる史料がひとつあるだけという貧弱なものです。
アメリカ大陸はインデアンのものというより、はるかに昔のことで、そんなことを認めたら世界地図はめちゃめちゃになります。
中国側文献である地図を含め、現近代の証拠は、議論の余地のないほど日本に有利なものとなっています。
Posted by ましま at 2010年10月02日 07:28
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