2010年10月05日

小沢擁護の一部ネット言論がひどい。

 あらかじめ断っておきますが、これまでも書いてきたように、私は小沢一郎と言う政治家を信用していません。裏切りや変節を繰り返し、改憲は主張していないものの、それは自民党が取ってきたなし崩し的解釈改憲でなんでもできると言うやり方と、同じ方向性を持っているもので、とても護憲派の私が支持できる内容ではありません。

 その前提に立ちつつも、私は今回の検察審査会の決定による強制起訴については、判決が下りるまでは、小沢氏は「推定無罪」の立場を取りますし、また、多分検察が集めた証拠では有罪にするのは難しいと思っています。

 そうは言っても、かつて、安倍や麻生政権時に起きた、自民党の閣僚や議員の同様の金の問題については、手厳しい意見を述べていた、多くの政権交代志向ブログの過半が、今は小沢氏絶対崇拝のような状況になっており、昨夜から今朝にかけて更新された、いくつかのかつては「自エンド」運動に参加していたブログで、通常では考えられないほどのひどい罵詈讒謗が、顔も名も知らない検察審査会のメンバーに対して投げつけられています。

 また、検察審査会の制度や内容についての知識が不十分なのに、断定口調で、「これはマスゴミと、菅政権の陰謀だ!」と叫ぶ姿は、私にとっては、戦前のナチスやイタリアのファシスト党が、ヒトラーやムッソリーニを盲目的に個人崇拝し、「ユダヤの陰謀により、我が国の富が奪われている!」と叫んだのと同じ無思考状態に見えて、大変恐ろしいことだと思います。

 そもそも「陰謀論者」と言うのは、単なる憶測などがネット上で流れている中から、自分の好みや気分にあった物だけを取り出してつなぎ合わせ、それを断定口調で述べるのが特徴です。

 代表的な小沢支持の陰謀論のブログに、元・経済学者の植草一秀氏の「知られざる真実」と言う、アクセスの多いブログがありますが、彼の言う、「悪徳ペンタゴン」(政・官・財・『マスゴミ』・アメリカまたは検察)が、日本の政治を壟断していると言う陰謀論では、植草氏らに言わせると、証拠は何も提示しないのに、今回の東京第五検察審査会メンバーが買収されているとか、「マスゴミ」(この言葉は嫌いです)に操作された「愚民」ばかりだ、っと言うように、自分を何段も高い立場に置いた上で、見も知らぬ人々を罵倒しているのです。

 私とて、政・官・財の癒着の構造や、アメリカの日本への内政干渉などがあることは重々承知しています。 
 しかし、検察審査会のメンバーや、民主党代表選で菅首相を支持した多くの党員・サポーターについて、やはり、「マスゴミ」に騙されている愚か者呼ばわりし、また代表選の投票については、何の証拠も示さずに、開票翌日のブログ記事で、「票のすり替えを菅陣営が行った。」っと断定しているのには、呆れるよりも恐怖を感じます。そこにあるのは、自分の論を理を持って展開して人に賛同を求める姿勢では無く、自分の感情の赴くままに、自分と違う意見の人や事件を、「〇〇の陰謀」により騙されたか、愚かで理解できない愚民呼ばわりして、あたかも自分たちだけが真実をしっている正義だと主張する、一種のファナティックなファシズムに近い行動形態だと思います。
 それは、全てを「陰謀論」により片付けて、「自分だけは真実を知っている」と言う高みに立った姿勢での自己満足的思考であり、非生産的であり、そのような言説には、私は不信感を持つだけです。

 小沢氏を支持するのは、各自、思想信条・内心の自由が憲法で保障されているので、全く問題はありませんが、その支持の仕方が、具体的な理由を示せず、「小沢先生なら何とかして下さる」と言うあいまいな理由での支持で、しかも、違う意見の人々を、悪として断罪する姿勢は、傲慢でもあり、理不尽でもあります。

 私は、最近ツイッターで何度も、なぜ小沢氏を、「小沢先生なら何とかして下さる・・・」ッと言うような曖昧な理由で、そこまで狂信的に支持するのか? そして、反対者を説得では無く、罵詈雑言を投げつけて誹謗中傷するのか、その理由を問うてきましたがまだ回答は得られていません。
 同じくネット・ツールのmixiでも、「マイミクさん」の中には、小沢氏支持者の方が多く、彼らにも同じ問いを投げかけているのですが、誰も答えてくれません。

 答えることができないような曖昧な理由での個人崇拝を他者に強要するがごとき言説を展開し、それに従わない者は全て「悪」と言うのでは、私も「悪徳ペンタゴン」の手先と言うことになり、身に覚えが無いので、理不尽な言われようだと感じています。

 そもそも、植草氏は、自民党政治のころから「悪徳ペンタゴン」と言うセンスの悪い造語で政権批判を展開していました。
 その背景には、植草氏と共著を出している、副島隆彦氏らが主唱する、「アメリカの陰謀」や、それを超えて、「ユダヤの陰謀」とか、「イルミナティ」(存在は疑問視されているが、小説などに登場する、ユダヤ教またはキリスト教がらみの謀略組織らしいです。)などの陰謀があり、日本は彼らによって攻撃されていて、日本政府は彼らの傀儡だと主張する、普通は「トンでも」と言われる、真偽不明の情報を基に構築されている物です。
 植草氏も副島氏も、そのような陰謀があると言う証拠は明確に示さずに、ただ「そうなのだ!」と断定した上で、小沢氏こそが、そのような陰謀に対処しうる稀有な人物であると言う、これも論拠を示さずに断じているのです。

 しかし、民主党政権になり、「悪徳ペンタゴン」の一角が、腐敗政権であった自民党から、初めて政権に就く民主党に変わったと言うのは、いくらなんでも飛躍のしすぎだと私は考えます。以前にも述べたように、癒着の構造は相当程度あるのでしょうが、その多くは人脈と利益誘導で形成されていて、自民党人脈が、政権交代と同時に、一夜にして、全て民主党につながると言うのは、理屈としても、物理的にもありえないと思うのですが。

 しかも、植草氏らの主張では、「悪徳ペンタゴン」の「政」は、民主党の中の菅首相支持派だと言い切りますが、これも何の証拠も論証もされていません。

 このように、「何らかの巨大な影の力によって、世界の全てが動かされている」と断じる「陰謀論」の立場に立つと、個々人の日々の営為は全て無駄であり、世界支配者(ロスチャイルド、ロックフェラーとかのアメリカの財閥など)達によって、全てがコントロールされていることになり、その中で、自分たちだけは真実を知っている、と証拠も無しに断言しつつ、他者を誹謗中傷して自己満足しているだけなのが、今の日本の「陰謀論者」だと、私は言い切りたいと思います。

 その背景には、この20年間の日本社会の閉そく状況を、誰か強い指導力を持つ人によって、なんとかしてほしいと言う願望があり、たまたま「剛腕」と異名を取り、前々回の参院選で、「国民の生活が第一」と打ちだした小沢氏に、その願望を託しているのだと思いますが、それならそうと主張すれば良いのに、反対者を、陰謀論的見方で「悪の手先」と断定し、誹謗中傷しかしない。そして、自分たちが求める社会や政策を語らず、ただ「小沢先生なら何とかしてくださる。」ッと言うような曖昧な主張に寄りかかり、自分たちで、政策論や理想の社会についての議論を深めようとしない姿勢に、大いに疑問を持ちます。
 
 繰り返しになりますが、このような、自分の政策や思想を展開せず、個人崇拝によりなんとかしてもらおうと言う姿勢は、戦前に、経済的にひっ迫していたドイツやイタリアで、個人崇拝(フューラー崇拝)を行い、軍国主義、世界大戦へと突っ走った状況に似ています。
 私に言わせれば、このような陰謀論による、個人崇拝の強要こそが、衆愚であり、思考停止の危険な状態だと考えます。

 まず何よりも、他者を批判し、陰謀があると言うなら証拠を示す事と、理想の社会・政治があるのなら、自分たちの政策や理念を示すべきであり、単に反対者を罵倒するだけの言論に価値は無いと思います。そしてそれは、まさに無思考状態の衆愚への道であり、危険な物だと指摘します。

 議論は嫌いでは無いので、私にとって、理解が困難な陰謀論者、またはそれを支持して、小沢氏崇拝をする人は、その論拠をぜひ教えてほしいと思います。ただ、どうも話が噛みあいそうにないので、コメントをいただくのは構いませんが、逐一対応はしませんので、悪しからず。応えは、今後のブログ記事に反映して行きたいと思います。
 また、真っ当な理由での小沢氏支持ならば、別に批判はしません。各自の思想の自由ですから。

 では。今日はここまで。

 以上

【追記】です。

 小沢氏擁護、検察審査会の決定に疑義を持ち、詳細に考察しているブログもいくつかあります。それはそれで良いと思いますが、そもそもの動機として、小沢氏が日本の救世主だと言うことを説明してほしいと思います。

 また、私は喧嘩をするつもりは無く、今日の午後か明日に、なぜ政権交代が起きたか?そして政権交代後も、政治の迷走が続いているように見えるのか?(自民党時代よりはましだと私は思うのですが。)

 そして、「英雄待望」の心理が蔓延しているらしい状況について、社会学的に考えてみたいと思っています。

 なお、私は法学部卒業です。民事訴訟法は専攻しませんでしたし、最近の司法制度改革の内容にも詳しくありません。そして、つい先日、大阪地検特捜での証拠捏造事件で、司法に対する信頼が地に落ちたことも承知していますが、それでも、法治国家である以上、法に基づいて適正に行われた(はず)の検察審査会のメンバーを罵倒するだけなのはいただけないと思っています。
posted by ジャッカル at 05:24| Comment(2) | TrackBack(6) | 世相 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕も小沢一郎崇拝には違和感を覚える者ですが、しかし、一連の小沢=犯罪者報道、ネットで流される「真実の情報」をみると、どうやら小沢一郎を失脚させなければ「困る」人間達が存在する事は確かなようです。
そういった空気感、不正を働いて踏ん反り返る邪悪な人間に対する怒りを、内に感じませんか?
Posted by aiu_kikaku at 2010年10月05日 09:48
> aiu_kikakuさん

 丁寧な物言いですので、せっかくですのでお答えします。
 はい、感じていますとも。30年も前から。多分貴方はお若い方と思いますが、今から30年近く前、アメリカの原子力潜水艦が浮上時に、「日昇丸」と言う貨物船にぶつかり、その際、「日昇丸」の船長ほか1名が、海に放り出されて死亡しました。
 アメリカ軍は救助をしようともしなかったし、極秘に修理しているのが発見されるまで、自分たちが事故を起こしたのを隠していました。
 しかし、この行為を、当時の産経新聞は、「アメリカの原潜は日本を守ってくれているのだから、2人くらい死んだ程度で騒ぐな」と言う趣旨の社説を載せたのです。
 これがきっかけで、大学時代に、世論操作、情報操作、メディアへの政治の圧力などについてのサブ・ゼミを作り勉強しました。

 その結果として、日本においてマスコミのほとんどが、50年にわたり、自民党政府と癒着してきたのは、間違いないことと私は断言します。

 植草氏らの主張でおかしいのは、自民党と癒着していたはずのマスコミそのほかの「悪徳ペンタゴン」とやらの担い手が、政権交代で一夜にして民主党の、しかも菅首相のシンパに鞍替えしたと主張している点です。物理的にもありえないと思います。

 ここからは推測ですが、私はマスコミは今でも自民党と深いつながりがあるのだと思います。だから民主党を叩くのです。自民党の政権返り咲きを目指して。

 菅政権ができたのはつい最近で、そんな短時間で、マスコミとの緊密な関係が築けるとは思えません。

 植草氏およびその支持者の政権交代を目指し自民党を批判していたブログの多くが、今は、自民党と同じ論調で、彼らが「ゴミウリ」と呼ぶ読売新聞を引用したりして、民主党の菅政権を攻撃しているのは、反自民・腐敗政治からの脱却を考えるならば、本末転倒の話なのです。

 それに気づかない、植草氏や支持者の近視眼的な点を私は批判しているのです。
 その理由については、別の推測が成り立つのですが、機会があれば、このブログの記事にすると思います。

 あと、ネットの情報は、全てが真実ではありません。携帯やPCの普及によるインターネットにより、現代人は、過去、例のない、玉石混交の情報の洪水にさらされています。
 その情報の洪水の中から、本当に正しいのは何かを見抜く、情報の受け手の側の「情報リテラシー」が求められます。
 植草氏やその支持者は、あまりに恣意的に情報を取捨選択しています。論理的ではありません。

 本当の巨悪は、まだ自民党とその復権を望むマスコミ幹部と財界にあります。

 民主党が悪い政治をするなら、攻撃するのも良いですが、それと並行して、腐りきった自民党の支配の構造を叩きつぶすのも行うべきだと思います。
 これで答えになっていますでしょうか?
 また、お越しください。
Posted by ジャッカル at 2010年10月05日 11:45
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