2010年10月07日

普天間基地、辺野古移設問題を考える。

 昨日の衆院代表質問において、自民党の谷垣総裁は複数の点で菅政権を攻撃したが、その中に、沖縄の普天間基地の辺野古移設についての質問もあった。
 ただ、谷垣氏の「生真面目さ」もあってか、「みんなの党」のように、ただ非難・批判をするだけなのではなく、この問題について、自民党の方に元々重大な汚点があることを意識させる質問だったと思う。もちろん明確に認めているわけではないが。

 このブログに来て下さる方に、この問題をご存じない方はいないと思うが、一応復習しておきたい。
 普天間基地は、太平洋戦争での米軍の沖縄占領後、米軍が建設した基地で、今は主に海兵隊のヘリ基地として使用されている。ただ、極東最大の空軍基地・嘉手納基地の改修に伴い、F-15戦闘機の運用が始まったことにも留意しなければならない。

 この普天間基地では、沖縄の本土返還後、周辺で都市化が進み、騒音や複数回におけるヘリの墜落事故などにより、周辺住民が危険にさらされると言うことで、1995、6年にかけて合意された、「SACO合意」によって、普天間基地は、沖縄本当の中東部にある、辺野古岬のキャンプシュワブに移転させることが決まっていた。なお、「SACO合意」の他の条項はほとんど全てが、米軍施設の返還と撤去に関するものであったが、普天間基地だけは、「移設」と言うことになっていた。

 しかし、この辺野古への移設は難航する。別に反対派の活動が激しくて難航したのではない。どちらかと言うと保守派、土建利権政治家たちによる、新設する基地の規模拡大(当初アメリカは、陸上部分にヘリポートを作れば良い、と言っていたのに、地元の前・名護市長の島袋氏などが、沖合2キロまでのサンゴ礁の海を全面的に埋め立てて、さらにヘリ基地には不必要な、長い滑走路をV字型に2本作ると言う計画を国に飲ませた経緯がある。これは、ただひたすらに、土建屋である前・名護市長らが、埋め立ての土砂運搬などで、約3500億円と言われる土建利権をあさるために、地元首長の立場を利用して、国に要求していた物であった。)。
 この結果、普天間基地の移設は遅れ、自民党政権末期に、環境アセス調査の強行が始まった程度であった。

 しかし、この時点では、一部の基地反対派の活動以外には、それほど大きな問題にはなっていなかった。その背景には、県民所得が低く、高失業率の状態にある沖縄県の、米軍基地による雇用に期待せざるを得ないと言う、難しい問題もあるためである。

 ところが、民主党に政権交代した後、鳩山政権が成立し、鳩山首相は、普天間基地の県外移設を模索する姿勢を見せて、地元はにわかに基地建設反対の期待が高まった。
 だが、鳩山前首相は、その後見られる、右顧左眄ぶりを発揮し、自分が言いだしたことなのに、アメリカなどに強く交渉することができず、逆に辺野古への新基地建設を確定する日米合意を飲んでしまうと言う、弱腰外交に終始した。このころから、私の鳩山への失望感は増し、その後、政権を放り出したり、次回の選挙では立候補せず、議員を辞めると言う言葉を翻したり、先般の民主党代表選では、キングメーカー気取りで、密室の交渉で首相を決めようとし、それが決裂すると、当初、菅直人支持を表明していたのに、3日後には小沢支持に回るなど、もはやどうしようもない右顧左眄、「ブレ」の姿を曝した。最近の民主党の人気凋落の原因の過半は、鳩山への失望や軽蔑が大きいと思う。
 期待を抱かされて、すぐさま裏切られた沖縄県民の怒りも大きいと思う。

 当初の鳩山の、県外移設と言う話は、確かに沖縄の基地負担軽減と言う善意があったのであろう。しかし、それを完遂できず、結果として、沖縄県民の期待を裏切る結果になったのは、彼の徳の無さであろう。

 さて、実は私は先日沖縄に旅行し、ちょっと通過しただけであったが、辺野古を遠望する場所から周囲を眺めてみた。美しくのどかな風景が広がっており、サンゴ礁の明るいブルーと、沖合の島(現計画では、その島まで2キロを、全面的に土砂で埋め立てる予定。)の緑がコントラストをなして、絶景と言える自然が残っていた。

 普天間基地は、その周辺住民の安全のために早期に移転させねばならない。しかし、辺野古の海を埋め立てる、土建利権屋が作った計画は余りにも無茶がある。その中で、鳩山の言いだしたのにすぐ折れたと言う無様な行動の結果、地元・名護市では、反基地活動が盛り上がり、市長が土建屋の島袋氏から、基地建設反対の稲嶺氏に変わり、その直後の市議選でも、それまで拮抗していた、賛成・反対の勢力図が塗り替わり、基地反対派が過半数を上回る結果となった。現在における地元の民意は、示されたのである。
 さらに、沖縄県知事選挙が来年1月に行われるが、2期目となる、保守の仲井間知事でさえ、「普天間基地の県外移設」を口にするようになった。

 鳩山の放り出しを受けて政権を担った菅首相は、鳩山が受け入れた日米合意を追認し、地元の怒りを買う結果となったが、私は、あの政権放りだしの直後の突然のリリーフ登板で、それまで関与していなかった問題に、正反対の立場を取るのは難しかったと、菅首相に同情的である。

 だが、地元の名護市の民意が、明確に基地受け入れ反対になった今、新基地建設は、当面は非常に、難しくなったと言える。
 県知事までが反対の立場になれば、たとえば建物の建設に関する許可や、道路使用許可などを認めないと言う形で、基地建設を阻止することが可能で、地元・沖縄県民の意見が180度変わらない限り、基地建設はほぼ不可能であろう。

 私はアウトドア、特に南の島でのダイビングを趣味とするせいもあり、サンゴ礁の保全に関心が高いが、その一方、過去の経緯から、普天間基地の移転は急がねばならないと思っている。
 とすると、日本政府は、先の日米合意を見直すための活動を、何らかのタイミングで行うべきであり、ベストは、基地受け入れ賛成を市議会で議決した、アメリカの属国である、北マリアナ連邦のテニアン島(グァムの近く。広島に原爆を投下した、B-29・「エノラ・ゲイ」が離陸した基地が今も残る。)に移転させる方向を模索するべきであろう。
 もとより、海兵隊は、アメリカの攻撃面での尖兵をになう部隊であり、また、約8000人の海兵隊員とその家族が、グァムに移転することが既に決まっている。

 海兵隊は日本の防衛には寄与していない(ミリタリィ・オタクたちは違う見解だが、事実として海兵隊と言う物の目的は、拠点または国土防衛では無く、侵攻作戦の先頭に立つことにあり、そういう訓練しかしていない。)以上、海兵隊員の性犯罪や殺人事件の頻発の件も合わせ、いつまでも沖縄県にいていただく必要は無いと思う。
 さらに、米海兵隊は、その移動手段として、これまでの大型ヘリから、T-35「オスプレイ」と言う、垂直離着陸が可能な、航空機の使用を行うことになっている。
 オスプレイは、運用開始前から墜落事故が相次ぎ、アメリカ人からさえ、「ウィドウ・メーカー」(未亡人製造機)と言う悪名を取った航空機であるが、航続距離が、従来の海兵隊のヘリの1.6倍。速度も速く、駐・沖縄海兵隊が、暗に中国への圧力、または台湾海峡戦を想定していたとしても、テニアンからで十分に役割を果たすことができるのである。テニアン市は人口は数千人。太平洋戦争時の飛行場が今も残り、滑走路は4本もある。
 周辺住民に与える影響も小さく、海兵隊の戦術目的にも不都合は無く、地元市議会が受け入れを希望していることからも、また、アメリカ兵が沖縄で反基地感情に囲まれている状況から比べても、ずっと良い基地建設場所だと思う。

 っと言うことで、来年1月の沖縄県知事選挙の結果を見て、その結果、辺野古基地建設反対の知事が就任した場合、日本政府は、民主主義の原則に従い、アメリカ政府に、再交渉の申し入れをするべきであると、私は考える。
 また、国外移転が結果としてできなくなったとしても、たとえば、極右の安倍晋三(APA壺三)の地元である山口県の岩国市のように、基地土建利権の市長がいる自治体に受け入れを要請するべきだと思う。
 今でも、基地負担に悩む岩国市民には申し訳ないが、選挙で今の市長を選んだ以上、そのようなことを言われてもやむをえないと思う。嫌ならば、次の市長選では、基地反対派を当選させるとともに、山口県民は時代遅れのカルト極右の「APA壺三」など、落選させる勇気を持ってほしい。

 以上が私の、普天間基地移設に関する見解である。

 私が知らないことも多いだろうが、戦闘部隊の過半がグァムに移転する海兵隊のために、なぜ、今の普天間基地より大きな滑走路付きの新基地を、海を埋め立ててつくる必要があるのか、推進派に問うてみたいものだ。

 最近の尖閣諸島事件で、「なんちゃってナショナリズム」が高揚し、南西諸島に陸上自衛隊を配備せよと言う、戦術的にばかげた妄論を唱える者が、民主党の議員の中にもいるが、彼らはただのバカな極右にすぎず、物事を論理と事実で考えようとしない愚か者である。

 今日はここまで。

 以上。

 なお、辺野古新基地の、海上埋め立て・V字滑走路と言う現行計画は、自民党が、島袋らの地元土建業者との阿吽の呼吸で作ったものであり、経済的に苦しい立場にある、沖縄、特に中部から北部の土建業者のみが悪いわけではない。

 他方、地元にあらぬ期待を抱かせながら、時日を経ずして裏切った鳩山の「おぼっちゃま」体質は、強く批判されなければならない。北海道の選挙民は、鳩山にノーを突きつけねばならない。

 アメリカがオバマ大統領であるうちに。そして来年7月にはアフガニスタンからも撤退が決まっているうちに、普天間の海外移設を持ちかけるべきであろう。そのためには、今から水面下のネゴをはじめ、沖縄県知事選挙の結果をもって、具体的に働き掛けるべきである。
 戦争業者のバカ・ブッシュの時代には無理であったが、比較的穏健なアメリカ民主党のオバマ政権のうちこそチャンスである。

 他方、沖縄が置かれている、かつての親や親族の仇である米軍に土地を占有され、時には少女らが暴行をを受けると言う状況にありながら、基地経済に依存せざるを得ないと言う、経済的苦境に対して、政府はもっと積極的に対策を講じる必要があろう。今でも部分的にはじまっているが、経済特区などの制度を活用し、沖縄を東太平洋の通商拠点となるようなテコ入れが望ましい。

 あと、「APA壺三」とは、復古的化石極右の安倍晋三を揶揄する言葉だが、「APA」とは、ホテルやマンションの建設・経営を行い、耐震偽装が明らかになった、「APA」グループの元谷会長が、安倍の後援会の会長か副会長をしていることから付いた名前である。元谷は、あの田母神に、懸賞金名目で500万円のわいろを贈ろうとしていた人物である。
 後半の「壺三」とは、安倍が、自らは神道政治連盟の会長でありながら、「霊感商法」でおかしな壺を売っていた、キリスト教では異端とされる、韓国の「統一教会」と深いつながりがあるとされることから付いた名前である。

 詳しくは、「統一教会 安倍 祝電」のキーワード検索をしてみることをお勧めする。
posted by ジャッカル at 03:34| Comment(1) | TrackBack(5) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このブログ氏、自分が高見からものをいっているようで、結局、傍観者的
本土の人間の責任感が感じられない
Posted by 魚の目 at 2010年10月10日 17:13
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