2010年10月20日

今取り組むべきは、雇用問題と税制改革だ。

 さて、今日は時事の事件に関するエントリーでは無く、私個人の、今、喫緊の課題として取り組むべき政策について、簡単に述べてみたい。

 現在の政治上の「喫緊の課題」と言うと、「景気対策」と考える方も多いだろう。景気対策にも、国の直接投資や給付による景気刺激策があるが、それはそれとして、政府には無駄のない効率的な景気対策を期待したい。

 しかし私は、景気刺激よりも、長期的に見て国民生活および社会問題として、可能な限り早く手を打つべきものに、まず「雇用問題」があると指摘したい。もちろん、景気刺激により雇用が創出されることも重要だが、問題はそこにとどまらない。

 現在、「第2次就職氷河期」と言われる状況に突入している。今年の新卒者の就職は、かなり厳しい状況である。特に高校卒の人については、求人倍率が0.5を切ると言う地方もあり、2人に1人は卒業後も仕事につけないと言う可能性があるのである。
 「第1次就職氷河期」は、今から12〜18年ほど前のことだが、この当時、正社員になり損ねた人の多くが、今でもアルバイトやパート、その他の非正規雇用で、低賃金と不安定な身分のまま、不安定な生活を強いられている。

 最年長者は40歳になろうかと言うこの世代の人々のうち、非正規雇用から脱却できない人々は、生活が厳しく、結果として国民年金、厚生年金の積み立てを行っていない。現在は、親の収入や年金と合わせて、なんとか生活を維持している人も、親が介護を受けるような年齢になった時、無年金であることにより、どれだけの生活苦が待っているのであろうか想像もつかない。
 また、そうなると、生活保護家庭が増え、また持ちたくても子供を持てないと言うことになり、少子高齢化に拍車がかかる。個人的には、少子化もある程度は構わないと考える(その分ワークシェアリングを進めるべきだ)が、やはり子供のいない社会は活力が無いだろう。

 この「無年金」を含む、「年金崩壊」の原因の一つが、非正規雇用とワーキングプアの増加にある。 
 政府はこの問題に、可能な限り早く、そして長期にわたって取り組むべきと考える。
 対策の一つとしては、上述の「ワークシェアリング」がある。現在、日勤で8時間、週5日労働を標準とするなら、これを日勤6〜7時間にし、給与はそのままとする。足りなくなった時間の分だけ、就業機会が増える。企業側は人件費増を嫌がるだろうが、社会が崩壊してからでは企業も成り立たない。政府主導で取り組むべき課題であろう。
 さらに、非正規・正規雇用の垣根をなくす、「同一労働同一賃金」も制度化するべきであろう。その手始めとして、今の派遣業法の改正が必要だが、それにとどまらず、労働基本法の中に、「同一労働同一賃金」を明文化し、企業による非正規雇用労働者の搾取を止めさせるべきであろう。

 次いで、税制問題についても考えたい。税制については、基本的にはコイズミ以前の制度に戻すことが重要である。たとえば、物品税(奢侈税)の復活、累進課税制度の復活などがある。このほか、私としては主に企業や裕福な階層を対象とした、「遊休資産課税」も考えるべきだと思う。将来の値上がり期待で購入してある不動産などの資産には、自己使用以外の物には、現在の固定資産税以外に、資産課税をするのである。企業の内部留保についても、同じことが言える。

 消費税については、制度を綿密に設計し、生活必需品や医療、介護、教育などは非課税とする物の、税率自体は引き上げの方向で進み、その増収分は、社会保障に充てることを明文化するべきであると考える。
 以前にも述べたように、私は北欧型高福祉高負担社会を理想とするが、「高負担」の部分は「応能負担」とするべきで、余裕のある階層や企業から取ると言うことで、消費税だけでなく、上述の「奢侈税復活」、「遊休資産課税」なども合わせて検討すべきと考える。

 法人税については、雇用の創出・安定化のために、いくらかの軽減はあっても良いと考える。だがその一方で、実質的免税措置の多い、「租税特別措置法」の中の企業優遇税制を一部撤廃するべきであろう。
 また、法人税にも、累進課税の考え方を導入し、大きく儲かった企業にはそれなりの負担をして貰いたい。ここで、「遊休資産課税」と組み合わせることで、儲かった分を内部留保に回すと言う事を防ぎ、税収増につなげたい。

 このような税制改正を、できるだけ早く骨格を作り、いずれは年金も全額税方式に持って行くことが必要だと考える。

 皆様はどうお考えだろうか? 消費税上げ絶対反対の政党もあるが、ならばどのような税制が良いのかを明確にするべきであろう。十年一日、法人税を上げろ、と叫ぶだけでは余りにも能が無いと言うべきであろう。

以上。
posted by ジャッカル at 05:11| Comment(6) | TrackBack(6) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBどうもありがとうございます。

記事の内容に同意します。新たな資産課税の必要性は、政府税調専門家委員会なども指摘していますね。

ところが、最近小沢信者の一部が、副島隆彦らに扇動されたり、それだけならまだしも、リアルの左翼活動家らまでもが「減税真理教」を唱える河村たかしを支持しています。

河村は、名古屋においてリアルで「小さな政府」の実験をしようとしているありさまです。

私のブログでは、このところ河村批判一色ですが、読者から不評らしくて、アクセス数も拍手の数も激減しました。検察審査会を糾弾しなければアクセス数の伸びは望めないようです(笑)。

ジャッカルさんも、雇用や税制の問題をテーマにすると、アクセス数的には不利かもしれませんが、水滴がいつか岩を穿つくらいの辛抱強さでやっていくしかないかもしれません。
Posted by kojitaken at 2010年10月20日 08:50
トラックバックありがとうございます。提示されているアイデア、興味深く拝見しました。参考にしたいと思います。

kojitakenさんも苦心されているようですが、私のブログではアクセス数的には不利なテーマばかり扱っています。爆

お互いにがんばっていきましょう。今後もよろしくお願いします。
Posted by 村野瀬玲奈 at 2010年10月21日 00:21
はじめまして。確かに、私は貴方が厳しく非難する「小沢信者、植草一秀真理教信者」と呼ばれても仕方が無いかもしれません。
しかしながら、自民党に関する批判や今回の雇用問題・税制改革の件は全うなものです。
消費税はともかく、自動車関連の税金を大幅に簡素化・減税し、公共交通を営利事業から社会資本へと変換、税金で維持しても社会的合意が出来るようにすべきでしょう。法人税課税の分、全く同意です。内部留保を社会に還元するには良いアイディアですね。カルロス・ゴーンは貰いすぎです。
雇用の問題でも、私は第一次就職氷河期世代(70〜80年生まれ)であり、今も非正規です。年明け以降の雇用を何とかしないといけない立場です。竹中平蔵が天下ったパソナの就労支援プログラムを受けましたが、最終的には自己責任で「自分の仕事を探してそれに就け」です。
竹中、南部靖之のパソナが雇用の問題を口実に利権を平然と獲得しています。しかも、社内組織では、社会保険庁の解体・民営化(政府系法人化も官僚からすればそう見える)に留まらず完全民営化で民間保険会社に全部任せようとまで。福利厚生代行のベネフィット・ワン(パソナの子会社)を通じて口入れ屋稼業をしたいようです。
Posted by ゴルゴ十三 at 2010年10月21日 07:12
はじめまして。
拝見させていただきました。
ご意見全てが同意と言うことではありませんが、
雇用第一の手段として
「政府には無駄のない効率的な景気対策を期待したい」とし、
出来たら、「無駄のない景気対策を具体的に教授をお願いします」
働き方においては
「ワークシェアリング」がある。現在、日勤で8時間、週5日労働を標準とするなら、これを日勤6〜7時間にし、給与はそのままとする。足りなくなった時間の分だけ、就業機会が増える」とされていますが、製造業の中ですら時短をすることで業務密度を上げる実態があります。
(昔からですが)
単純に雇用が増えるとはならないと考えます。

さて、ご提案の件、どの既存政党にその実現を託すのでしょうか。
あなたの提案では、たぶん民主党となるのでしょう。また一新した自民党となるのでしょうか。
是非、もう少し具体的に書いていただけたらと思います。
今後のご期待をこめて


Posted by ゆきぼー at 2010年10月26日 10:17
>ゆきぼーさま
 この種のコメントには真摯にお答えしなければなりますまい。
 まず、景気対策については、必要であれば、公共事業の建設国債による着手も視野に入れた、積極的経済政策を期待したいと思います。
 この話は、要は、「程度」の話で、私利私欲のため、財政状態を危機的に陥れながら、赤字国債発行で業界を潤してきた自民党と、手法は同じでも、程度の問題だと思います。
 残念ながら、詳細な金額については、専門外ということもあり、お答えはできませんが。

 次に、ワークシェアリングについてですが、法の整備により、過密労働を防ぐセーフティネットも併せて制度化する必要があるでしょう。
 かくいう私自身が、過密労働による過労うつ病を患い、会社を追われた人間として、目標設定に汲々としての、企業の過密労働は、今後絶対に許すべきではありません。
 その上でのワークシェアリングの導入です。
 雇用創出はそれだけではできないでしょうが、ワークシェアリングで、働く時間が減った人が、レジャーや学業に充てる時間が増えるのは、日本にとって良いはずです。
 問題は、資本の論理で、人間性を失った企業を、どうコントロールするかでしょう。

 ご意見は承りました。
 今後のエントリーに反映できればと思います。

 最後に、支持政党ですが、民主党は、今のままでは期待はずれですが、自民党が相当の改革をしない限り、自民党を支持はできません。
 残念なのが、日本には本当の意味の社民主義政党が、無いことです。一番近いのは、現在の社民党でしょうが、あまりにも弱小ですし、過去にいろいろと過ちを犯しました。そこが人間らしいという面もありますが、今は民主党の党内改革を望むしかないでしょう。

 では。ご意見ありがとうございました。
Posted by ジャッカル at 2010年10月26日 12:01
ジャッカル様

早速のお返事ありがとうございます。
貴重なご意見いただきました。

私はなぜ社会民主主義的な政策が日本の中で
受けいられないのか、
それは現在社会民主主義政策を標榜する
「社民党」の質が変わることに展望があると考えています。

どのような質の変化と問われたら今の私では充分に答えることが出来ませんが・・・

そのひとつに、ご指摘のとうり、過去の反省が不十分と考えています。

過去を見据えて、失敗と成果を国民に向って堂々と表明し、日本的社会民主主義社会のありようを
具体的事例でもって表明する努力が必要と思っています。
提案されている
税の課題も大きな要素と考えます。

これからも真っ当な意見をどんどん発信していただきますように。
ありがとうございました。
Posted by ゆきぼ at 2010年10月26日 13:32
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