北朝鮮が、朝鮮半島西方の韓国領の島に、突然砲撃を行い、兵士に死者、民間人にもけが人が出た。
許しがたい暴挙と言うべきである。
突然の無意味にな攻撃に、原因をいろいろと推測する報道はあるが、何をおいても、民間人のいる他国の土地に、砲撃を加えると言う事は、暴挙・蛮行以外の何物でもない。
それが、北朝鮮国内での後継者の実績作りなどと言う身勝手なものだとするならば、北朝鮮は、さらに世界の孤児となろう。
朝鮮半島は、朝鮮戦争以降、未だに「休戦」の状態であり、南北朝鮮間では、軍事的対峙が60年も続いている。従来も、中間地帯である非武装エリア内での銃撃戦などはあったが、砲撃は戦後初である。
韓国の背後にはアメリカ(一応、国連軍)が、北朝鮮の背後には中国が後ろ盾としており、北朝鮮は、中国の威を借りて、今回の暴挙に出たものと思われる。
韓国のイ・ミョンバク大統領は、軍事的対処を行うと強硬論を唱え、今後どうなるか予断は許さないが、双方の背後の大国の存在が、全面戦争への突入への抑止になるであろうことは予想され、またそれであるからこそ、北朝鮮がこのような行動に出たともいえるだろう。
北朝鮮が、政権の世襲、王朝化を進め、核兵器製造の愚挙に走り続ける背景には、やはり中国のバックアップがあるからであろう。さすがに表立っての支援は行っていないが、国境を介しての陸路での貿易は、中朝間では活発であり、北朝鮮の生命線ともなっている。
中国への国際間での説得や圧力を通して、北朝鮮の蛮行を止めさせるように働きかけるのが、当面の外交課題となろう。
しかし、中国もまた、経済発展による国力増大を、覇権主義に結びつけつつある様で、また、情報統制強化など、国内に抱える問題は大きく、アフリカ・ナイジェリアにおける収奪などを見ても、もはや社会主義国を名乗る資格は無い、覇権主義国家である。
だが、この中国と北朝鮮を相手に軍事的対応を叫ぶのは、漁船が領海に入ったくらいで吹き上がり続ける、石原慎太郎らのような愚かな軍国主義者たちだけである。
今、やらねばならないことは、戦争ではなく、説得と交渉による、中国の懐柔である。他方、資本進出や、原材料の中国からの輸入を縮減し、他の諸国へ分散化していくことも、いささか増長慢になっている中国の肝を冷やすことになろう。
これらの手段を使って、中国の北朝鮮へのバックアップを減少させ、中国自体の民主化も進めていかねば、中朝両国は、そのうち世界中を相手に孤立することになるだろう。
まずは国連安保理になるのだろうが、そこで中国が北朝鮮擁護にでるか、少なくとも棄権するかが、ひとつの判断の分かれ目である。
現状を考えるに、中国が、理性的行動を取るとは考えにくいが、そこを圧して、中国への働きかけを粘り強く行っていく必要があろう。
いずれにしても、今回の北朝鮮の蛮行に、強く抗議するものである。