2010年12月16日

法人税減税は本当に必要なのか?また、代替財源は法人から取るべき。

 このところ政府内での議論のひとつであった、法人税減税について、さほど議論の深まりも無いまま、税率5%減が決まった。
 政府・民主党としては、この減税による税収減分を、さまざまな個人所得、相続税の範囲の拡大で補填する方向を示しているが、まだ不足する。
 当初、財務省が主張していた、「実質的に法人税を満額払っている企業は15%」とか、「租税特別措置法による減免措置の撤廃が条件」などの、新たな企業課税の話はどこに消えたのか?

 また、政府は、法人税減税分により、雇用や賃金の拡大を図るよう、経団連に要請したが、経団連はこれを拒否した。

 議論の最初に戻りたい。小泉の悪しき税制改革の裏には、極悪人・竹中平蔵がいたわけだが、彼の主張の基本は、日本の法人税率が、他国との比較で高すぎる、と言う物であった。今回も同じ論が用いられた。

 しかし、ここでまず、ずっと続く円高基調の中で、円ベースに換算しての、率ではなく金額的に、法人税負担が、その企業の収支に与える影響の具体的比較が行われていない。
 それをしない竹中はもとより、マスコミも決定的に勉強不足と言うべきだと思う。

 次に、上述の、租税特別措置法による、さまざまな減免措置で、実質、法人が収めている税額は法人税率よりうんと低い。で、他の国に同様の減免措置の制度はあるのか比較するべきだ。

 つまるところ、抽象的な率比較ではなく、実質的に企業が、その収支の中で、どの程度の税負担をしているかを誰も調べてこなかった。この点、わかる方がいれば、ご意見を頂戴したい。比較対象は、欧米と、アジア諸国の2通りであることが望ましい。外国企業誘致に力を入れる、アジア諸国の法人税率が20%台であることを、日本の法人税が高すぎるという根拠に使われてきたが、産業の背景と国策が違うだろうに。

 次に、代替財源と、法人税減分を、雇用や賃金に反映しろと言う、政府の言い分を経団連が拒否したが、これはモラルハザードの一環と私は捉える。
 日本の「失われた20年」も、その前のバブル期に、企業が社会の一員としての責任を持つと言うモラルが崩壊し、金儲け至上主義に堕落したまま、不景気に突入したため、非正規雇用の大幅な増加や、企業収益は上がっているのに、世帯所得は下がり続けるという結果になったのである。

 バブル期に、儲け、儲け、で活躍して出世した世代が今の経営者クラスの年代である。つまり彼らには、モラルが無いのである。前経団連会長の御手洗が、違法な偽装請負をさせていたのを、露見したら、無理やり法律の方を変えさせようとしたり、「残業代0法案」などを実現させようと動いたのも、世襲経営者であり現場を知らない、普通のサラリーマンの生活を知らないというのもあるが、基本的に、企業の社会的責任と言う、モラルが崩壊した人物だったからである。また、企業の社会的責任は、モラル面だけでなく、経済学上、お金が社会の中を流通する上で必要な物なのに、内部留保として死蔵してしまうのは、経済学上も異常な行為で、日本が金融緩和をいくらやっても、市場にお金が出ないのは、ただひたすらにおのれの儲けを溜め込むことに汲々としている、モラル無き経営者たちの姿勢の結果である。

 ここで、政府の姿勢として、もし、雇用や賃金に、減税分を反映させないなら、内部留保を中心にした、新しい資産課税をするぞ、と政府は財界にブラフ(脅し)をかけている。
 正しい方向性と考える。ブラフではなく、現実に行うべきだ。

 企業の内部留保とは、まず、工場などの生産財という、「儲けを生み出す装置」となっている。儲けの源泉に対して課税するのは、悪しきことではない。
 次に内部留保で多いのは株主への配当である。
 しかし、日本の大企業と言うのは、銀行のグループ(かなり崩れたが、旧財閥系)など中心にした、株式の持ち合いで成り立っている。個人株主と言うのは全体から見ればごく少ないのが日本企業の特徴である。

 バブル崩壊直後、「コーポレートガバナンス(企業統治)」と言う言葉で、株主が一番大事。っという論調が展開された。しかし、上述のように、株式持合いと言う、他国には余り例の無い状態にある日本の企業では、株主イコール企業でもあり、自分たちで自分たちの利益を山分けしている形になるのである。

 この点を見ないで、内部留保は非課税、っと言うのはおかしい。証券、およびその取引課税は当たり前で、それとは別に、不況といいながら既に250兆円近くに達している企業の内部留保には、課税すべきと言うのが私の考えである。

 もちろん理不尽な課税、高率の課税をしろとは言わない。
 たとえば、社屋や工場など、その企業が存続する上でどうしても必要な資産はある。これも2つに分けられ、工場は必須の資産であると共に、儲けを生み出す装置でもある。だからここには税率を変えるという対応がありうる。
 また、将来への投資としての資産保有分は、ほぼ遊休資産と考えて、この部分にはもっとも高率の課税をすべきであろう。
 こうやって、企業が死蔵している金を市場に出させる(遊休資産を持つことが不利になるようにする)ことにより、経済も活性化するというものである。

 と言うことで、私は、内部留保を主なターゲットとした、新たな資産課税を現実化するべきと考える。
 同じことは個人にも言え、個人資産でも、居住している家と、賃貸などに出して金を得ている資産を分け、さらに値上がり期待の遊休資産にはさらに高い税率で課税を行うべきである。

 今日のエントリーの前段は、「日本の法人税は高い」と言う説の再検証が必要と言う事。中段は、今の日本の企業経営者の感覚が、バブル時の金儲け至上主義で出世した連中の我利我利亡者的、モラルハザードの連中が財界を形成しているということ。
 そして、後段は、政府がブラフとして出した、内部留保を中心にした新たな資産課税を、ブラフではなく、現実に行うべきと言う、主張である。

 実は税制にはさほど詳しくないので、読者の方に税理士や会計士などがいらっしゃれば、ご意見を頂戴したい。

以 上。
posted by ジャッカル at 09:26| Comment(0) | TrackBack(3) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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