2010年11月05日

TPP(環太平洋パートナーシップ)について

 国会の施政方針演説で菅首相が表明して以来、EFTAや、TPP(環太平洋パートナーシップ)といった、貿易の自由化、関税の撤廃もしくは低減という動きについての議論が盛んだ。

 かつての、アメリカ民主党政権において、対日本の貿易摩擦があったことも、ずいぶん昔のことになってしまったが、この問題は、2国間以上の貿易においては、必ず付きまとう問題であった。
 今回、俎上に上っているのは、太平洋沿岸諸国における、貿易の自由化に関する議論である。

 私は、基本的には、自由貿易は理想だとは思っている。しかし、もし、今すぐに日本が輸出入の関税を撤廃した場合、輸出中心の製造業は大喜びだろうが、オレンジ・牛肉の自由化以来、苦しい経営を強いられてきた農家にとっては、大打撃が起こりうることも、肝に銘じておかねば成らない。

 基本、製造業労組を支持母体に持つ民主党が、TPPへの前向きの参加に前のめりになるのは考えうる。
 しかし、ただでさえ、食料自給率の低さが問題視されている中で、安易にTPPに参加することには慎重であるべきだ。
 本来この話は、民主党のマニフェストにあった、農家個別所得補償などとセットになった、農家保護策と一体として考えねばならない。

 農家個別所得補償とは、一種のベーシックインカムの思想であり、こうすることにより、農家は生活のことを心配することなく、輸入品より品質や種類の良いものを作ることに取り組むことができる。

 自民党政権下以来の、農家をダメにする補助金ばら撒き行政を支持はしないが、今回、TPP参加について議論する以上、この問題を避けては通れない。

 その意味では、私は、普段批判している小沢や、自民党の主張に近い。

 ただ、小沢は、本来推進派のはずだったのに、単に菅首相への対抗として、慎重論を展開しているに過ぎず、その「政局(だけ)が好き」という、悪癖には閉口する。
 また、自民党も、農家票の離反が、政権交代のきっかけになったため、農家を重視するような顔をしているが、内心は、製造業を含む、大企業の顔色を伺っているのが実情であろう。

 今回、多国間協議ということもあり、個人や政党の私利私欲にかまけての議論は排したい。
 その上で、理想と現実を直視しながらの、漸進的な取り組みが必要と考える。

 たとえば、EUに参加しながら、通貨統合には最初は参加しなかったイギリスのように、独自の立場をとることも視野に入れるべきであろう。
 多国間協議は話し合いであり、自国の事情を説明し、長期的視野からの政策実現が求められると思う。

 菅政権の賢い判断を期待したい。


(追記)

 今日のエントリーではなく、昨日のアメリカ中間選挙結果に関する、「ティーパーティー」運動についての補足である。
 そもそも「ティーパーティー」という言葉を最初に使ったのは、共和党の議員、ロン・ポール氏で、その選挙資金集めのパーティーで、ボストン茶会事件に扮した演出があったことに端を発するらしい。
 ロン・ポール氏は、今や、共和党の中でも、次の大統領候補の筆頭に挙げられるまでに有名になった。
 だが、ティーパーティー運動で、一般に流される、ネオコン・タカ派のサラ・ペイリン前・アラスカ州知事は、単にティーパーティーの一部の極右派が、講師として招き、その後も宣伝塔として使っていただけのもので、彼女の政策(そんなものは持っていないが)や信条と、ロン・ポール氏では、大きな違いがある。
 サラ・ペイリンが、盲目的なキリスト教原理主義的、アメリカのパワー信仰の、ネオコン・タカ派であり、敵(彼女はその実態を知らないだろうけど)を殲滅するまでは、アフガン戦争も継続するべし、と主張するのに対して、ロン・ポール氏は、戦争という金食い虫を早く辞めて、財政赤字を減らし、小さな政府を実現すべきだという主張である。

 私自身は、「良い小さな政府」というのは欺瞞だと思っており、国家の役割は、国民の最大多数の最大幸福に寄与すべきものと考えるので、福祉重視の大きな政府論者だが、上記の2氏を比較した場合、エキセントリックな宗教右派に支持されたサラ・ペイリンよりも、ロン・ポール氏のほうを支持したい。

 実際、アメリカでのある世論調査でも、次期大統領にふさわしい、というのは依然としてオバマ現職大統領であり、それに次いで、ロン・ポール氏の名があがる。サラ・ペイリンなど誰も相手にしていないのだ。決まった組織があるわけでもなく、草の根的に広がった「ティーパーティー」運動は、確かに保守系浮動層の起こした風だったわけだが、サラ・ペイリンと、ロン・ポール氏とでは、後者への支持のほうが圧倒的に高い。

 陰謀論者の副島隆彦あたりが、オバマ氏が辞めて、クリントン女史が大統領になる、などと、アメリカ連邦憲法への無知をさらけ出している(現職大統領が任期中に失職した場合、副大統領が「自動的に」大統領になる)が、仮に次の大統領選挙にオバマが氏立たず、クリントン女史が立ったとしても、その対抗馬は、サラ・ペイリンでないことは間違いないであろう。

 以上
posted by ジャッカル at 08:36| Comment(3) | TrackBack(3) | 政策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。